群馬が誇る郷土かるた「上毛かるた」の英語版が発売されました。
戦後間もない1947年に誕生した「上毛かるた」は、群馬県民の「アイデンティティー」です。
子供のころから地域の子供会や育成会で毎年のように練習しているので、誰もが暗唱できるほど県内に浸透しています。
そんな「上毛かるた」も国際化の流れを受け、このほど「英語版」が発売されました。
早速買ってみましたので、開封レポをお届けします。
目次
やっぱり一番上は「ら」と「い」
英語版「上毛かるた」を開けると、一番上に「ら」と「い」の札がありました。
これは通常版と同じですね。
読み札は「いろは」順に重ねられているので「い」が一番上にあるのは納得できますが、「ら」だけは「いろは」順に関係なく、あえて一番上に置かれています。
「上毛かるた」が制作された終戦直後、出版物には連合国軍総司令部(GHQ)の厳しい検閲がありました。
公募段階で人気があった勤王思想家の高山彦九郎、侠客(きょうきゃく)の国定忠治を扱った札は「サムライ」や「ヤクザ」といったイメージから、採用が拒否されてしまいました。
そこで、かるたの作り手たちは「雷と空風 義理人情」の札で採用できなかった上州人を表現しようと、赤く染めた「ら」と「い」を一番上に置いて強調したとされています。
絵札に英語のキーワードで「取りやすく」
英語版では絵札の下に、英語のキーワードが載っています。
例えば「い・伊香保温泉 日本の名湯(One of the most famous hot springs in Japan,Ikaho Onsen.)」は絵札に「Ikaho Onsen」のキーワードがあります。
外国の方が遊ぶとき、取りやすくする配慮かもしれません。
絵札の裏には、札に関連する温泉地や名所、史跡、事柄などを写真で紹介しています。
外国人観光客向けに、群馬の歴史や名所を紹介する「パンフレット」としても活用できそうです。
値段は1819円と、意外にお高め
購入時にちょっと驚いたのが「値段」です。
通常版が762円(税別)なのに対して、英語版は1819円(税別)!
たぶん読み方のCDが付いているためだと思います。
遊び方は通常版とほとんど同じ。並べ方、同点の場合は「つ」がある方が勝つというルール、「つちけ」「おかめきけ」「すもの」といった役札も同様に使えます。
サイズは通常版より少し大きめ
通常版の上毛かるたに比べると、英語版は大きめのサイズとなっています。
札のサイズも余白とキーワードがある分、大きめになっています。
札の紙質も、英語版は通常版より「つるつる」した感触です。両面印刷しているためでしょうか。
実際に札を取る時は、滑りやすそうなので注意が必要ですね。
多文化共生の象徴に
上毛かるたの「ち」といえば?
群馬の県人口を表す札「力合わせる二百万」ですね。
県人口が200万人を突破したのは1993(平成5)年のことでした。
その後は2005年に増加から減少に転じ、現在は200万人を切った状態が続いています。
少子高齢化による人口減に歯止めがかからない一方、群馬県内では外国籍の方の存在感が増しています。
群馬県のまとめによると、2019年12月末時点の県内外国人住民数は6万36人(前年比3439人増)。
これは県人口(196万9459人)の3%を占める割合で、過去最多の人数となっています。
群馬県も多文化共生に力を入れていますが、英語版の上毛かるたは、その文化的な交流ツールとしても活躍が期待されそうです!
英語版「上毛かるた」
※県庁県民センター、各地域の県行政県税事務所などで販売中です。
問い合わせ先:群馬県地域創生部文化振興課(☏027-226-2592)
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