「建築×グルメ」ガイドブック 前橋工科大学で展示 1月16日まで

 群馬県内の名建築とグルメを楽しむ「群馬美味!建築ガイドブック」の展示が1月9日、前橋工科大学のメイビットホールギャラリーで始まりました。ガイドブックは、前橋工科大講師の臼井敬太郎さん(写真中央)と、大学院生、臼井研究室の学生たちで制作。富岡製糸場×コロッケ、アーツ前橋×ラーメンなど、県内の名建築とその近くで味わえる絶品グルメを紹介しています。16日まで。

グルメと建築の「おいしい関係」

臼井さんは前任の西日本工業大学でも、北九州の名建築とスイーツを巡る建築ガイドを制作しています。群馬の建築について、臼井さんは「富岡製糸場や碓氷第三橋梁(めがね橋)といった明治期の建物がしっかりと残っている。また、アーツ前橋や太田市美術館・図書館など現代建築の名作もたくさんある」と高く評価しています。

臼井研究室では定期的に建築ツアーを実施していますが、その際は土地のおいしい名物を味わうのも楽しみだそうです。今回の展示では、大学院生と臼井研究室の学生たちが推薦、実際に訪れた約80件の建築と、周辺のグルメをパネルにまとめました。

上が前橋市内、下が前橋市外のパネル

パネルは左から年代順に並び、最も古いのは桐生天満宮社殿(1789年)です。江戸から明治~平成まで時代ごとに区切って展示し、最新のものですと建設中の八ツ場ダム(2020年)などがありました。

「建築ツアーでは、建物だけでなく周辺の風土にも目が向きます。群馬は青空が美しく、自然が豊かな土地です。同じ建物でも東京で見るよりも、建物の輪郭が際立って、より魅力的に感じられると思います。その土地の風土に根付いた食べ物にを味わうことで、暮らしのリアリティーが増し、建物の印象が自分の中に強く残るように感じます」(臼井さん)

見て食べて、名建築を身近に

ガイドブック制作に参加した、前橋工科大4年の宗形雅彦さん。おすすめの建築スポットを聞くと、前橋市を代表する近代和風建築「臨江閣」を挙げました。周辺グルメで紹介したのは、臨江閣内のカフェでいただけるコーヒーセットです。900円と少し高めですが、使用した萩焼の器を持ち帰れるので「建築巡りの思い出にもなり、ぜひ訪れてほしい場所です」(宗形さん)。

おすすめスポットを教える宗形さん

臼井研究室では今後もガイドブックの内容を充実させ、2月ごろに再度、展示を行う予定です。いずれは冊子にまとめて発行するそうなので、楽しみです!

文化財や公共施設を知るきっかけ

富岡製糸場、旧沼田貯蓄銀行、旧井上房一郎邸、群馬音楽センター、県庁舎、県立近代美術館・・・。ガイドブックで紹介された名建築の多くは、地域の歴史を物語る文化財や公共施設です。文化財保護には多額の維持管理費が必要となります。それは高度成長期に建設され、老朽化が進む公共施設も同じです。

地域を代表する名建築を守り、伝えるには、土地に住む私たちが、その文化的・観光的な価値を理解することが大切です。まずは気軽に、このガイドブックを参考にして現地を訪れ、名建築と美食をはぐくんだ風土に思いをはせてみてはいかがでしょうか。

「群馬美味!建築ガイドブック」展示

場所 前橋工科大学メイビットホールギャラリー(前橋市上佐鳥町460-1) 

期間 1月16日まで(13、14の両日は閉場) 9時~19時 入場無料