世界遺産の街・富岡に〝まちやど〟を クラウドファンディング開始

世界文化遺産の富岡製糸場がある富岡市街に、街中をひとつの宿に見立てた宿泊施設「まちやど」が誕生します。中心となる宿泊棟「mabushiya」は、10年ほど空き家となっていた二軒長屋を改修して活用。地元の有志らでつくるまちづくり会社「まち繰るみ舎」が現在、改修費用の一部(300万円)を募るクラウドファンディングを実施しています。

まちの人や日常を楽しめる”まちやど”を富岡に作りたい

まちの日常を楽しむ観光スタイル

一般社団法人日本まちやど協会によると、「まちやど」とは「まちを一つの宿と見立て宿泊施設と地域の日常をネットワークさせ、まちぐるみで宿泊客をもてなすことで地域価値を向上していく事業」と定義されています。

旅館やホテルといった従来の宿泊施設は、食事・入浴・買い物の機能が内包されて、一歩も外へ出なくても滞在できます。とても便利ですが、地域を味わいつくす宿泊体験としては、ちょっと物足りない気もします。

「まちやど」の最大のコンテンツは「地域の日常」です。

富岡市街は世界遺産の富岡製糸場だけでなく、同じ歴史を歩んできた路地裏や商店街が残っています。そこにはレトロで味わいのある建物があり、魅力的な商店主や地域の方が住んでいます。新鮮野菜を使ったイタリアンやB級グルメの「ホルモン揚げ」といった豊かな食文化も楽しめます。

新しく何かを作らなくても、「まちやど」では、地域の日常にある場所や食、人が、来る人をもてなすコンテンツになるのです。

宿泊棟「mabushiya」の建築模型。空き家だった長屋は、ゆったりとした間取りの客室にリノベーションされる

世界遺産登録「後」のまちづくりへ

 明治5年に建設された富岡製糸場は2014年、ユネスコの世界文化遺産に登録されました。登録年度は約133万人が訪れましたが、その後は入場者が減り続け、現在ではピーク時の半分以下になっています。

登録効果で観光客は一時的に増えるものの、文化財の魅力だけではリピーターを維持できません。これは、全国の世界遺産が抱える課題でもあります。

今ここ、富岡にある魅力や資産を見直そう―。富岡市内では、世界遺産登録「後」を見据えたまちづくりの機運が盛り上がり、その中で「リノベーションまちづくり事業」が始まりました。2017年に空き家活用と街づくりの手法を学ぶリノベーションスクールを開始。2018年7~12月、リノベーションを軸としたまちづくり構想委員会を計5回開催して、市内外の参加者と富岡のまちづくりについて議論を重ねてきました。詳しい経緯などは、とみおかリノベーションまちづくりをご覧ください。

まちやど構想は、リノベーションまちづくりのメインとなる事業であり、クラウドファンディングも皆と共に街を作り上げようという強い思いを感じます。

富岡市リノベーションまちづくり構想検討委員会のラストを飾る第5回は、富岡商工会議所会館で開かれた=2018年12月12日

富岡製糸場という文化財を守り伝えてきた土地柄もあって、歴史を体現する建物を活用しようというリノベーションの理念は、富岡のまちづくりにとてもフィットしているように感じます。

富岡から始まった「ぐんまリノベーションまちづくり」運動は今、館林やみなかみなど県内各地へ波及しています。「いまここ」は、今後もリノベーションの動きに注目し、記事化していきます。

あ、もちろんクラウドファンディングもしましたよ!

皆さま、4月13日のまちやどオープニングパーティーでお会いしましょう。

 

 

 

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