和の手仕事に親しむ「伝承展」/前橋市芸術文化れんが蔵

伝統技法でつくる着物に親しむ「伝承展」が9月4、5日、前橋市三河町の前橋市芸術文化れんが蔵で開かれました。着物離れによって織物産業が厳しさを増す中、着物デザイナーの森尻春司さんの作品を展示して、新たな視点で和装文化を広めようと試みています。

着物文化を「再考」する

かつては普段着だった着物も、今は晴れの日にだけまとう高級品です。普段から身に着ける機会が少ないため、着物がどのようにつくられているか、知らない方も多いと思います。

展示では、京都の高度な伝統技法「型染(かたぞめ)」にスポットを当て、その工程を分かりやすく解説しています。

着物の図案やデザインを手掛ける森尻春司さん

まずは、着物の図案づくり。

森尻さんが、着物をデザインする際に描いたスケッチが展示されています。

絵画作品のような図案の数々

次は、完成した図案に沿って彫刻刀で型紙を作ります。

型紙は図案が複雑に、色が多くなればなるだけ数が増え、時には数十枚になることも。その型紙を一枚づつ、がらのずれなく刷り上げるには、高度な技術が必要です。

がらを染める際に使う伊勢型紙。繊細な模様は職人の手によって一つ一つ彫られている

一反(12メートル)の生地をつるし上げ、端から地色を染めていく(地染め)を経た後、高温で蒸して色を定着させて、冷たい水で洗い流して―。分業化された10~13に及ぶ工程を経て、ようやく一つの反物ができ上ります。

産地の職人と技術を守る 

今回の企画展には、前橋市中心街の老舗呉服店「小川屋」も協力しています。

小川屋の伊藤大介社長

小川屋の伊藤大介社長は「産地の職人と技術を守るのが私たちのミッションです」と力強く語りました。

産地を守るためには、和装の消費を増やす必要があります。そのためには、まず着物や伝統技法のすばらしさや価値について、知ってもらうことが大切だと言います。

今回の展示に合わせて森尻さんがデザインした反物

今回の展示では、前橋まちなかエージェンシーと協力して、着物の価値をいかに分かりやすく伝え、興味をもってもらえるかに力点を置きました。

反物の美しさと、背景にある職人たちの苦労を対比を感じさせる内容で、和の手仕事が持つ価値と技術の重みをあらためて実感することができました!

群馬県産の「新小石丸」を使った着物も展示。ほの暗いれんが蔵内に絹の光沢が映える

「伝承展」 FB
主催:伝承展プロジェクトチーム
場所:前橋市芸術文化れんが蔵

 

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