オールユアーズ的 クラウドファンディング講座

クラウドファンディングを使った服作りで、ファッション業界の常識に挑むブランド「オールユアーズ」。その代表である木村昌史さんが、2月2日に高崎市内のSNARKで開かれた「ジョウモウ大学トークキャンパス」で講演を行いました。実は群馬出身という木村さん。自身の経験を基に、「クラウドファンディングをやりたい!」人に向けてアドバイスを語ってくれました。

高崎で、僕はファッションを学んだ

時代の最先端を行く木村さんですが、富岡高校→高崎経済大学、22歳まで群馬に住んで、高崎で遊んでいたと言います。

ライトオン富岡店・高崎下之城店でのアルバイト経験や、高崎内の古着屋でファッションを学んだそうです。

その後はライトオンなどを経て、2015年7月にオールユアーズを創業。「生活のストレスからヒトをカイホウする」を掲げ、服の機能や着心地を大切した商品を作り続けています。水をはじく加工のパーカー、体のにおいを吸い取るTシャツ、色落ちしない黒パンツなど…。「服ってこんなもんだよね」という当たり前にとらわれない服作りで、ファンの心をつかんでいます。

服作りのプロセスも革新的で、クラウドファンディングで支援者を募り、リターンとして商品を販売しています。速乾性の高い「FAST PASS」シリーズのプロジェクトでは1800万円の支援を集め、国内のファッションカテゴリーの最高調達額に。現在はキャンプファイヤーで24カ月連続クラウドファンディングに挑戦中で、支援総額は約5600万円に上ります。昨年は「毎日ファッション大賞2018」にノミネートされて話題を集めました。

同時開催された販売会。水をはじくパーカーなど機能的な服が並ぶ

まず、顔の見える友達に伝える

クラウドファンディングは、アイデアやプロジェクトを持つ人が、専用サイトを通じて呼び掛け、共感した人から広く資金を集める方法です。サイトによって手数料や達成条件が異なり、国内だとキャンプファイヤーやレディーフォー、マクアケなどが有名で、県内にもFAAVO(ファーボ)群馬ハレブタイといったサイトがあります。

クラウドファンディングを始めたいという人に、木村さんが投げかける言葉があります。

「それは何人が支援するプロジェクトですか」
「10人でも100人でもいいですが、全員の名前を言ってみてください」

クラウドファンディングは一日に数百件のプロジェクトがアップされ、公開しただけでは情報の中に埋もれてしまいます。基本的に自分のフェイスブックやツイッターのフォロワーにしか伝わらないため、知り合いの誰がプロジェクトを支援してくれるかを考えることが大切なのです。

木村さんも「まず、知っている人しか支援してくれないと考えた方がいい」と言い切りました。「ネットで知らない人にいきなり『支援してほしい』というのは、電車の中で知らない人にお願いしているようなもの」だと。

知らない人の支援がないと成り立たないプロジェクトは、成功する可能性が低い―。

逆説的ですが、知らない人に支援してもらうには、自分の知っている人にどれだけ濃い内容を伝えられるか、が大切だそうです。

まずは、顔の見える友達にプロジェクトをSNSで発信。そして、共感と支援の輪が友達の友達、その友達にまで広がると、達成する確率が高くなるといいます。

支援してもらうために、大切なのがリターンの設定です。

オールユアーズでは、個性的なリターンを数多く用意しています。学生限定でインターンができる、木村さんとサシ飲みができる、木村さんがフィッティングに全国どこでも出張する―。

ポイントは「自分だったら、どうされたいか」

お金ではなく、あなたが何かしたいという時に、支援したいという友人は少なからずいるはずです。その人がどうされたらうれしいか想像して、プレゼントを贈るような感覚でリターンを考えると良いそうです。

始める前から、伝え始めよう

印象的だったのが「始める前にちゃんと伝える」ということです。

プロジェクトを始める前に、その思いを支援者になる人たちと共有する。

完璧な説明やリターンを用意する前から情報を公開することで、支援者と〝共犯関係〟を築き、つくる課程まで楽しめるプロジェクトになるのだと気付きました。

私も支援するのが大好きで、オールユアーズのクラウドファンディングにも参加してます。

応援は支持を通じて、自分の意思を示すことだと思います。これからも、魅力的なプロジェクトの共犯者になれればいいなと思っています!