人間の姿に変身する八咫烏(やたがらす)たちの世界を描いたファンタジー小説「八咫烏シリーズ」。作者である阿部智里さんの出身地・前橋市の前橋文学館で、10月20日まで展覧会「羽の生えた想像力―阿部智里展」が開催されています。阿部さんの創作ノートや校正原稿、美しい表紙イラストの数々が展示され、ファン必見の内容となっています。
八咫烏の暮らす<山内>を体感
「八咫烏シリーズ」は2014年の「烏(からす)に単は似合わない」から7作が刊行され、累計で130万部を超える人気作です。
<山内(やまうち)>と呼ばれる異世界を舞台に繰り広げられる権力争い、そして「宿敵・大猿」との死闘―。スケールの大きな世界観はもちろん、何といっても人間味あふれるキャラクターたちが魅力です。
2階の展示会場では「推し」キャラクターにメッセージを書くコーナーも。
天井のパネルでは、登場人物タイプ別の性格診断が楽しめます。ちなみに私は、姉御肌の「浜木綿(はまゆう)」タイプ。
好きなキャラクターなので、ちょっとうれしかったです。
ストイックな創作過程を公開
阿部さんは早稲田大学在学中、史上最年少の20歳で松本清張賞を受賞した気鋭の若手作家です。
幼い頃から物語を作るのが好きで、小学生の時には「作家になる」とすでに決めていたと言います。小野不由美、夢枕獏、京極夏彦といった作家の和風ファンタジーに引かれ、時には作品を「写経」して文章力を磨こうとしたことも。とにかくストイックに、作家を志した日々が紹介されています。
高校、大学時代の創作ノートも特別公開されています。
細部まで作りこまれた世界観は「八咫烏」シリーズの大きな魅力です。
創作ノートでは時にイラストを交えて、登場人物たちの会話や場面について綿密に構想。想像力で紡ぐ世界を言葉に落とし込む、阿部さんの仕事の一端を感じることができます。
阿部さんゆかりの地を巡るスタンプラリー
企画展の開催を記念して、期間中は前橋市内で「八咫烏スタンプラリー」が開催されています。
スタンプの設置された市内8カ所は、いずれも阿部さんにとってなじみ深い場所だといいます。
文藝春秋の特設ページに地図などが載っていますが、歩いて回るのはちょっと大変かもしれません。電車で来た方は、JR前橋駅前のレンタルサイクル「マエチャリ」などを利用してはいかがでしょうか。
8カ所をコンプリートするとオリジナルうちわがもらえるそうです(先着順)。ぜひチャレンジしてみてください!
企画展「羽の生えた想像力―阿部智里展」
期間:2019年07月20日(土) ~ 2019年10月20日(日)
休館日:水曜日
会場:前橋文学館 2階展示室(前橋市千代田町3丁目12-10)
電話:027-235-8011
観覧料:一般400円
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