前橋にはためく「想像☆の力」

2018年春、前橋テルサ近くに設置された「マエバシモニュメント」。カラフルで存在感のあるこの場所で今、さまざまなアートの試みが行われています。12月27日からは「マエバシモニュメント」の前に、前橋市在住のアーティスト、白川昌生さんが制作した「想像☆の力」ののぼりが展示されています。政治や社会、人間関係が複雑化している時代だからこそ、他者や未来への「想像力」が必要なのかもしれません。「想像☆の力」はその強いメッセージ性で、目にする人それぞれの想像力を喚起してくれます。

「想像の☆力」の作者である白川さん

想像力の可能性に思いめぐらす

 白川さんは大量生産された既製品をアートに置き換える、いわゆる「レディ・メイド」の手法による作品づくりで有名な方です。「想像☆の力」は店頭などでよく見かける「のぼり」が素材で、支えているポールも量販店で買えるものです。「想像☆の力」の作品群は約10年前に制作し、アーツ前橋など県内外の美術館で展示されてきました。

作品に込めた意図について、白川さんは次のように語りました。

“想像力はアートの基本であり、その可能性を探る作品づくりに取り組んできました。想像力はアート以外の場面でも、政治や社会、災害を取り巻く問題を考える時に必要となります。「マエバシモニュメント」は交差点に面しているので、作品が多くの人の目にとまり、想像の力について考えるきっかけになればと期待しています。”

パブリックアートの実験場に

「マエバシモニュメント」は前橋テルサのある交差点に面し、本町一丁目カフェ( 前橋市本町)の隣にあります。制作したのは、家や街の豊かさを考える活動に取り組む「場所・T house」プロジェクト実行委員会です。同委員会が所有していた 広告看板の支柱に、長崎の現代美術家、井川惺亮(せいりょう)さんが着色し、街に彩りを添えるモニュメントを完成させました。

「マエバシモニュメント」は、パブリックアートの実験場としても多くのアーティストをひきつけています。10月14日には現代美術作家の八木隆行さんが、モニュメントに設置した風呂に入浴するという独創的なアートパフォーマンスが行われ、話題となりました。

八木さん(左)による入浴のアートパフォーマンス=2018年10月14日

「想像☆の力」の展示は1月中旬までの予定です。興味のある方はぜひ一度、「マエバシモニュメント」を訪れてみてはいかがでしょうか。